薔薇の塔で眠る姫君【中編】

ーーなるほど、それで君は野ばらに抱かれた訳だね。

目覚めへと至る、接吻が欲しいのかい？

だが、残念ながら私は君の王子様じゃない！

さあ、もう暫し。運命の相手は、夢の世界で待つものさーー

 

嗚呼　西も東も 北も南も 雨にも負けず 風にも負けず

捜したけれど 見つからない……と思ってた矢先に

素晴らしい 噂を聞いた――















「さあ、姫よ。ココロの準備はよろしいかな？」








「いただきますーー」





















予定調和な王子の接吻で姫が目覚めると、

役割を終えた野ばらは、立ち所に立ち枯れて朽ち果て、

長過ぎる午睡を貪っていた城の愉快な面々も、

何事も無かったかのように、彼等の愉快な日常を再開した。

【七の罪科】<Siebte Schuld>

「復讐劇の始まりだ！」

「復讐劇の始まりだ！」



TBC.


赤王子　倉
野ばら姫　憐華
photo thanks amajy様